俺がために筆を振る

現役おっさんくさい保守的な大学生の執筆する供給しかねえブログ不定期更新中

酒と親父とピアノと

 さっき、父親とお酒飲んできたあそび人だよ。すっごい感じのいい舞台で飲めたから、詳しく書いちゃうよ。文章が中二じみてるのはアルコールのせいだよ!

 

 夕食後、父親に誘われてミニバーのような場所にともに行った。「大人な」という形容詞を使って表現したくなるようなその場所の雰囲気には、カクテルがよく似合っているように思える。滋賀で活動しているという歌手の歌声と、彼女の弾くピアノの音は、親子を少し感傷的にさせた。

 父親は、いつも私に酒を少しくれるが、グラスのなかの全ては渡さない。そんな父が、初めて私に一杯の酒をよこした。酒の名は「キール」。白ワインにカシス・リキュールを少量加えた酒で、フランスのディジョンにその起源があるらしい。

「白が好きなら、たぶん口に合うだろ」

 父にそう言われ、試しに口に運んでみた。私が初めて口にしたカクテルは、白ワインの味を確かに残しながらも、少し酸味のあるものだった。なるほど、白ワイン好きに勧めるのは正解だ。

 父のウィスキーが半分、私のカクテルが3分の 2程になった頃、突然父は、彼の父親、つまり私の祖父のことを話し出した。

「じいちゃんと酒を飲んだのは、一度きりだった

  祖父は、私が影も形もないころに、この世の人でなくなった。父がいまの職場に勤めだしてから、 2年後だったという。

 父親との「飲み」について語る父は、楽しそうには見えなかったし、現に楽しい話ではなかった。まだ学生だった父の許容量を越えて飲んだがために、嘔吐したのだという。そしてそれがトラウマで、祖父とは飲まなくなったそうだ。

「じいちゃんは、もっと俺と飲みたかったのかもしれないな・・・」

  自身の悴である私にそう語る父には、後悔の感情が見えた。その後悔が、祖父への申し訳なさからくるものなのか、もっと利己的な後悔なのか、あるいは両方なのか、私にはわからなかった。馬鹿で青い私にも理解できたのは、祖父はあまりいい親ではなかったと聞いているが、それでも父にとって、親は親であったということだ。

 ささやかな飲み会の後、宿の大浴場で、私は父の言葉の意味をぼんやりと考えていた。しかし、子を持ったことも、持つつもりもない私には、到底理解できそうになかった。ただひとつ、これからはちょくちょく父と飲むということだけが、私のなかで決定した。

 

 こういう文章を馴れないスマホで打つと火傷する。みんなも、酔ってるとき以外は絶対やるなよ!