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俺がために筆を振る

現役おっさんくさい保守的な大学生の執筆する供給しかねえブログ不定期更新中

カラオケオール

 先日、人生初のカラオケオールというやつをしたので、それについて書いておきたい。

 ある夜、サークルが終わったのち、同期2人、先輩複数人としばらく正門の前で話していたのだが、1人の先輩が私を含む1年3人に、夕食をともにしないかと申された。実のところ、自宅に母が用意してくれていた肉じゃががあったのだが、先輩並びに同期と親睦を深める好機と思った私は、この誘いに乗った。物わかりの良い両親を持つと何かと楽である。

 ささやかな夕食会は、先輩のおごりで、学校からそう遠くない某学生に大人気なイタリアンレストランにて開かれた。私はなるたけ安く、それでいて量などの要素から気を使ったともとられないような品を頼み、ありがたくいただいた。食卓は様々な話題に華やぎ、時間はあっという間に過ぎていった。

 時期に22時になるといった頃だったろうか。カラオケに関することが話題に上がった。時間も時間であったため、所謂カラオケオールの話なども出てきたのだが、ある先輩が、カラオケが好きだという別の先輩に、今日は行かないのかというような話をされた。おそらくは冗談のおつもりだったのだろうし、話を振られた先輩もそれはご承知であったと思うのだが、こういった冗談は不思議なはずみで現実と化したりするもので、先輩はカラオケに行くことを決断された。そして、お1人様というのもどうかと思われたのか、1年3人とほかの先輩も誘われた。勢いという者は恐ろしいもので、前の晩に完徹をされていた先輩もいたというのに、全員が参加を決めた。かくして、私は人生初のカラオケオールに挑むことになったのである。

 5分も歩かないうちに、我々はカラオケ店に到着した。「8時間」という今まで見たこともない数字と文字が書かれた紙が先輩の手に渡されたとき、幾分背徳感を感じた。部屋に入ると、さっそく誰か歌うよう促され、だれも歌おうとしなかったため、私がマイクを取った。まずはおどけるのが良いと思い、小林旭の曲などを歌うと、テンションが高くなっていたせいか、その場にいた全員が笑ってくれた。歌い終えた後、ひとまず場を整えることに成功した安堵感と、早くも襲い来ていた眠気のために、私は力なくソファに座った。

 その後はてんやわんやとでも言おうか、それともカオスといおうか、なんにせよ実に愉快であったのは間違いない。喉を傷めているというのに高音の曲を大声で歌う先輩、非常にお上手であらせられた先輩、実は歌がめちゃくちゃうまかった同期、エロティックな歌を実に艶やかに歌う先輩、我々の世代にとっての懐メロを次々と繰り出す同期、3時になろうが4時になろうが元気な先輩と、夜は騒がしく、賑やかに、あっという間に過ぎ去っていった。

 店を出たのは6時だった。すでに日は昇り、帰路は背中に降り注ぐ陽光が暑かった。先輩方と同期連中への別れの挨拶を済ませた後、私は自転車にまたがり、ようやく目覚め始めた商店街を駆け抜けていった。わずかな眠気はあり、それによって軽い事故すら起こしたが、気分は実にすがすがしかった。久しぶりにすべてを出し切った気がして、参加を決断した前の晩の自分を心の底からほめてやりたい気分だった。初っ端から少し躓きがちであった大学生活だが、こういうこともあるのならば、悪くないとようやく思えた。今でも、誘っていただき、そのうえ代金のいくらかまで払ってくださった先輩方と、楽しい時間を共有してくれた同期連中には感謝している。例のバイトからもおさらばしたいま、やっとこさ明るい気持ちで生きられそうである。